台湾、中国、日本、香港合同会議・視察旅行レポート

細谷恒夫

20年前にIFLA台湾大会に参加して以来2度目の台湾です。当時と比べ、台北市内は高層ビル、高速道路等都市の発展を実感できる景観が続いていました。

今回は5月16日~18日の開催で、台湾を代表するランドスケープ2団体、台湾造園景観学会と中華民国景観学会が、それぞれ、創立20周年、30周年記念祝典の一環として開催された国際シンポジュームに参加しました。

大会テーマは「アジア環太平洋地区におけるランドスケーププロフェッションの協働について」で、ランドスケープアーキテクトの社会的地位の向上、資格制度について、次代を担う若人のランドスケープアーキテクトが多数参加し、質の高い議論を展開しました。今回は日本からCLA,JLAU,IFLA Japanの3団体を代表する形で,井上,細谷,高野,三谷,鈴木,渋谷、廣川、台湾から石村の8名が参加しました。特に、資格制度確立に関する会議にて高野ランドスケープ台湾事務所の石村敏哉氏が台湾における資格制度に関する課題について鋭く指摘していたことが心に残りました。主催者、造園関係団体、特に、国立台湾大学の先生方から大歓迎を受け交流を深めることができました。
以降、主に台湾側の好意で企画された視察旅行についてご報告いたします。

 

台湾、中国,日本,香港合同会議
台湾、中国,日本,香港合同会議

視察について

The Xinseng Park

The Xinseng Parkは2010年台北国際花の博覧会の主会場になった公園で、エコロジカルブラニングをテーマに整備され、テーマ館はミュージアムになっていました。台北市内で壁面緑化、屋上緑化等エコロジカルな取りくみが多数見られました。百貨店の室内外の壁面緑化で、集客や話題性を考え大規模なものも見られるそうです。閉会後、工事現場の仮囲いの4割緑化義務や壁面緑化が市内に多数普及しているそうです。


Guang Feng Park

Taoyuaw Bade市に建設された民間集合住宅地のランドスケープ計画です。中心に大きな池を掘り、その残土で景観変化をつけ、エコロジカルで明るいランドスケープデザインにまとめてあった。隣接地にショッピングセンター計画があり、将来計画への配慮も感じられた。隣接する河川の取り込み不足等の課題もみられたが、プライバシーに配慮した植栽計画や池のほとりの野外ステージ、ゆったりと座れる長ベンチ等きめ細かで質の高いランドスケープ空間を形成していました。


慈湖記念雕塑公園

慈湖は、蒋介石元総督が故郷の浙江省渓口鎮に似ているという事で、
晩年を過ごしたところです。大きな森にかこまれ、山道をしばらく行くと大きな湖があり、奥地の斜面そって蒋介石が利用していた5つの別荘が記念館として保存されていました。慈湖陵寝(蒋介石の遺体が安置されている)などがある。駐車場に下って眺めると約200対の蒋父子の塑像が林立していた。かつて、全国各地の学校や公共施設に設置されていたもので、今でも増設工事が行われているそうです。
台湾の近代史を凝縮した公園です。


宜蘭文化公園、その他

帰国する日の午前から宜蘭市の高野ランドスケープが手がけた運動公園や宜蘭文化公園を見学しました。
運動公園は力作で整備後約20年経過し樹木が成長し、地域のスポーツ、健康運動の拠点になっています。
20年前にも同公園を見学したが当時の空間・施設はそのまま残っていました。当時、公園周辺は農地が多かったが、現在は、集合住宅地やホテルなどが林立する市街地になり公園を中心に新しい街が形成されています。  宜蘭文化公園は新しいタイプのスポーツ文化公園でした。丘の上に400mトラック、大規模な屋根付き広場、スポーツ文化博物館が計画されていた。デザインコンセプトが斬新で、我々にも大いに参考になると思いました。


細谷恒夫 Tsuneo Hosoya

株式会社あい造園設計事務所 代表取締役