第51回 IFLA世界大会 各国代表者会議,本会議報告書
IFLA Japan 会長
高野文彰
アルゼンチンへのフライトは、ほぼ24時間の長旅でした。
ブエノスアイレスは8年前に講演会で来ておりますので馴染みがあり、
秋晴れの気持の良い天候に迎えられました。
6月2日,3日と各国代表者会議が行われました。その概要をご報告します。
各国代表者会議 レポート
参加国
ヨーロッパ |
英国、エストニア、セルビア、フィンランド、スエーデン、 スイス、イタリア、スペイン、ロシア、エスパニア |
10ヶ国 |
---|---|---|
アメリカ |
アルゼンチン、カナダ、メキシコ、ボリビア、ベネズエラ、 プエルトリコ、ウルグアイ、アメリカ、チリ、エクアドル、 パラグアイ、ブラジル |
12ヶ国 |
APR |
シンガポール、韓国、マレーシア、オーストラリア、日本、 ニュージランド |
6ヶ国 |
マルチネス会長からキャサリン・ムーア新会長へ
2期4年間会長を務めたマルチネス会長(メキシコ)の最後の世界大会になり、次の会長キャサリン ムーア(イギリス)新執行部の方針が話されました。
新会長は長年ランドスケープアーキテクトの地位の向上の尽力されており, ランドスケープ憲章を作成参加国のサインを得てユネスコに提出する等すでに 精力的に進めておられます。
昨年の11月のランドスケープアーキテクトスケープアーキテクト連盟JLAUの設立総会に来て頂く予定でしたが,急病で参加頂けませんでした。
強い理念をお持ちなので,そのリーダーシップに呼応して、各国の総力を挙げての協力が必要となります。
又 Ben Robert (Director General)が新たにmanagement の専門家として外部から雇用されました。
各リージョン(地区,支部)の自立性を高める
IFLA,はヨーロッパ,アメリカ,アジア,アフリカの4つのリージョンで構成されてます。
今まで本部に会費を払い本部が多くをリードしておりましたが,新体制は各リージョンが独自に事務所を構え,地区のランドスケープ憲章を提示しなければならなくなりました。
また、一旦本部におさめた会費は各地区に配分され,後は独自の裁量で各支部の独自な活動を運営します.独自性、自主性が発揮され良い展開と思います。
財務状況の提示
前回財務担当のJohn Easthope 氏がJLAUの設立パーティで日本に来られた時,今まであまり全体の財務状況が提示されていなかった事についてコメントした ところ、早速今回会議で提示され,議論が具体的になり,彼の貢献は大きかったと思います。
APR の団結と主張
世界大会等の開催の際Registration Fee の20% をIFLA 本部に上納する件の運用について団結して反対票を投じ、大幅に修正された。 今まではしゃんしゃんと議事が進む事が多かったのですが,団結して総会での意思表示する事によって、軌道の修正が出来る事を確認しました。
APRの新しい活動
IFLA Worldと同じ構成で4つの委員会,Committeeが組織され、その傘の下にいくつかのTask Forceが位置づけられます。
日本からは三谷さんがProfessional Practice & PolicyのAsia Pacific 地区での委員長となり今後の資格相互認証等に力を奮って頂きます。
今まで三谷さんが委員長を努めていたMember ship Committeeは、Task Forceとなり、PP & Pの傘の下に入ることに成り、Task Forceの委員長にはイランのモハメッド氏が務めることになりました。
他に上原先生と鈴木誠先生が、APRの教育とアカデミックCommitteeで、永沼さんがAPRでの文化的景観のTask Force で活躍されます。
Committee(委員会) | 委員長 | TASKFORCE | 担当者 |
---|---|---|---|
Professional Practice Policy | 三⾕(JP) | CLC |
ロティア(MY) 永沼(JP) |
Communication | レニー(NZ) |
APR award web site Membership |
モハメッド (IR) |
Finance | ダミアン(SG) |
|
|
Education | ニール(NZ) |
Student award 他 |
上原(JP) |
<APR award 、APR web site>
IFLA本部のWebにリンクして、各国の組織内容の情報提供が必要。APRのWebと各国のWebとのLinkも可能。
<FINANCE>
APR の活動を活性化するための企業協賛等財源の確保が課題。
<EDUCATION>
Educational data base,の作成が急がれてます。
継続教育についても今まで議論されていなかったので、PP & Pと連携を取りながら、具体的な検討をスタートする
Student award はeducation committee の管轄となる等。
Landscape Architect Without Border はタスクフォースとして消滅
<COMMITTEE>
今後会長,Secretary,Treasurer,と各committee のchair 4名 、計7名が執行部として組織運営を進めることに成る。
President会議を組織 通常の運営は各国のデリゲートで行うが、その他の各国の会長 と年に1度ぐらい顔を合わせ課題を共有する。
新規加入国と中東リージョンの独立
新たに蒙古,レバノン,チュニジアの3ヶ国が(個人会員も含め)加入によりAPRは16ヶ国となる、中東リ—ジョンは2年後ぐらいに独立の予定。
イスラエルにどのように対応するかが課題の1つとしてあげられた
ランドスケープAPR憲章の作成
ヨーロッパ、アメリカが独自に憲章を持っており、IFLA全体のものはキャサリン新会長が作成中。APRも独自に持つべき、と言う事でダイアン前会長が作業中 今後キャサリン新会長と調整してまとまった段階で各国にまわして意見交換を行い最終のものとしてまとめて行く。出来上がったら夫々の国が自国のユネスコに提出するべく尽力する。
台湾報告
本世界大会より前に台湾で行われ,日本からはJLAU,CLA,IFLA Japan の3団体が参加した。
台湾代表のChangさんから委託された、国際シンポジュームでの審議内容を代理で報告した。メッセージ,台湾での国際シンポジュームムのより具体的な内容報告などに関して、は別途レポートをご覧ください。
今後の大会開催スケジュール
2014年 | 文化的景観シンポジューム | テヘラン | 11月17~19日 |
2015年 | 世界大会 | セントピータースバーク ロシア | |
アジア地区大会 | ロンボック島 インドネシア | 8月10〜12日 | |
2016年 | 世界大会 | トリノ イタリア | |
アジア地区大会 | キャンベラ オーストラリア | ||
2017年 | 世界大会 | モントリオール カナダ | |
アジア地区大会 |
日本開催要請あり 海外からの期待が高い。 |
||
2018年 |
世界大会 アジア地区大会 |
シンガポール | |
2019年 |
世界大会 アジア地区大会 |
開催国未定 | |
2020年 | アジア地区大会 | マレーシア世界大会 |
本会議 レポート
プログラム内容
本会議は場所を大學に変えて行われ、一般会員の参加のもと盛大に開催されました。
会議のテーマは「Thinking and Action」でした。
発表は南米の方が多く半分はスペイン語によるスピーチでした。
プログラム内容は下記にアクセスしてください。
基調講演 Keynote Speech
基調講演のトリを務める形で、「Dream of Landscape Architect」をテーマに話しました。
- 第1部はDream of People で住民参加について
- 第2部はDream of children で子供の遊び場について
- 第3部はDream of Forest で森について
Landscape Architect の職業が如何に夢に満ちて素晴らしいか,又Landscape Architect Initiative で私達がもっと積極的に主導権をとって行く事に大切さとそれによって広がる可能性を現実のプロジェクトを例に情熱を込めて話しました。 最後の話しが終わる前から拍手が湧き上がり,心に残る講演が出来ました。
学術的な発表が多かったなかで実際のプロジェクトだった事、話し幅が広かった事、画像がきれいだった事,Landscape Architect が主導権をとっているプロジェクトがほとんどであった事等が、普段他分野の職能とのやり取りのなかでうまく力を出せないで悩んでいた南米の方々の情熱的な心に強く響いた様です。
終わった後、多くの人にほめられ,主催者からはこの大会を本当に盛り上げてくれたと感謝の言葉を頂きました。
最後のIFLA 大会
今回は私が基調講演を頼まれましたので,三谷さんに変わって日本代表を努めました。
おそらく日本代表としては私の最後のIFLA大会参加になると思います。
次世代へバトンタッチしたいと思います。
今後の活躍を期待しております。
高野 史彰 Fumiaki Takano
高野ランドスケーププランニング 取締役会長