台湾、中国、日本、香港合同会議 報告レポート

亞太地區景觀專業合作暨兩岸地區景觀專業發展研討會

井上忠佳

2104年5月16~18日にかけて、国立台湾大学(台北、台湾)で、台湾造園景観学会TILA(30周年)および中華民国景観学会(20周年)の記念行事として国際会議が開催された。IFLA-JAPANを通じて参加の呼びかけがあった。この会議のテーマは「アジア環太平洋地区における、ランドスケーププロフェッションの協働について(The Conference of Landscape Professional Cooperation in Asia Pacific Region and The Cross-Strait Conference of Landscape Professional Development」)であったが、台湾からの参加が主体で、中国本土、香港からは講演者が参加する中国系主体の国際会議になり、一部講演は中国語でなされた。

過日、日本において行われたJLAUの設立記念パーティに台湾から参加いただき、日本の3団体にお祝いの品を頂いたチャン台湾代表からのお声掛かりもあって、日本からは、IFLA Japan, CLA, JLAUの3団体を代表する形で 高野IFLA-JAPAN会長 三谷IFLA日本代表,井上忠佳,細谷恒夫,鈴木,渋谷,広澤の他、5名と現地から石村敏哉の合計8名が参加した。(参加者は5~60名)。

会議では、各国よりLAの活動状況、LA資格制度の運用状況、LA教育の現状等の報告がなされた。ほぼ20年以上前の、RLA設立に準備に際し世界各国のランドスケープアーキテクトの現状・資格制度等についてのヒアリング調査を行ったが、その時には、既に台湾等で活躍されている人もいたが、今回の参加各国の組織からは無回答であったことを思いだすと隔世の感がある。 内容的にはJLAU,RLA総合管理委員会等にとっても重要な情報に接することのできる貴重な機会であった。
事前に調整を取ったが御都合がつかなかったのは残念であった。

議事次第

09:30-10:30
Opening Remarks
Keynote Speech1
Keynote Speech2

  • Yuan-Tay Shyu:Dean, College of Bioresources and Agriculture,National Taiwan University
  • Sheng-Jung Ou:President of CTLAS
    "The Landscape Architecture Professional Cooperation among APR/ Landscape Architecture in Taiwan
  • Po-Hong Liu:President of TILA
    "Landscape Architecture in Taiwan"

11:00-12:00
Keynote Speech3
Keynote Speech4

  • Xiong Li : Dean, School of Landscape Architecture, Beijing Forestry University
    "Practice and Reflection of Garden Exposition Park"
  • Chun Yen Chang : VicePresidnt of CTLAS:Professor, Department of Horticulture and Landscape Architecture,National Taiwan University/Chang
    "Create a Mind- Landscape Architecture Cooprations"

13:30-14:30
Keynote Speech5
Keynote Speech6

  • Fumiaki Takano : President of IFLA Japan
    "Uniting Japanese Landscape Professionals & The Importance of Landscape Initiative in Landscape Architecture+The Garden Movement in Hokkaido as an Example"
  • Leslie Chen : Secretary General of IFLA APR(LARB Chair,HKILA President Prof UHK/Technological and Higher Education Institute of HK)
    "Milestone of Landscape Architecture Development in Hong Kong"

15:00-17:00
Keynote Speech7
Keynote Speech8

  • Hiko Mitani : Chair/IFLA APR Membership Committee & Delegate of IFLA Japan
    "What Kind of Landscape Architecture Do We Need in Contemporary Mainland China"
  • Rui Yang : Chair, Department of Landscape Architecture, Tsinghua University
    "Milestone of Landscape Architecture Development in Hong Kong"

16:00-17:00
Questions and Commentary

  • Sheng-Jung Ou : President of CTLAS

講演から伺える各国のランドスケープアーキテクトの現状の概略は以下のとおりである。

台湾

LA法立法に向けた行動は2002年開始、2013年11月11日のLA法制定に向けたキャンペーン実施され、10,000人の署名が集まった。LA関連組織は3:CTLAS(台灣造園景觀學會),TILA(中華民国景觀學會)、LAECGT(景観工程公會全国聡合會)等台湾にも多様なランドスケープ関連団体がある。LA教育を実施する大学として16校(デザイン及びアート8校:建築的デザイン3校:農業資源系3校:国立台湾大学他:マネージメント系等2校)がある。TILAはランドスケープアーキテクトの資格制度を運営している(RLAはじめ外国の資格制度を同等の資格として見ているようである)

香港

ホンコンランドスケープインスティチュート(HKILA)は、英国領であった時代にUKLI支部があったものから分離設立(1988)したもので、1996にHKILA定款条例(Incorporation Ordinance)が、1997年ランドスケープアーキテクト登録令が制定されLARBも設置された。英国時代の制度が引き継げたことから資格制度・職能の位置づけが明確である HKILA会員は2007年時点で200人(うち有資格(Professional Members)は100人)であったが 2013年には320人(うちProfessinal Membersは150人)。ランドスケープアーキテクチュアを教えている大学:4校と紹介されたが、うち一校は香港大学の大学院である。このほかThei、HDI3校等2009年以降造園教育を実施する機関ができた) 香港においては、ランドスケープアーキテクトは医師・弁護士・建築士等主導的専門職が10あるものの一に位置づけられている。 ランドスケープアーキテクトの海外資格としてはイギリス・アメリカ・オーストラリア等を同等とみなしているようでRLAは含まれていない。

中国本土

中国からは昆明国際園芸博覧会以降数多くの博覧会・各種園芸博覧会が開催され、それを機会に公園整備が進められている状況も報告された。また、高野会長・三谷副会長の具体的なランドスケーププロジェクト・作品紹介等は、非常に注目を集めた。

日本

高野代表により日本のランドスケープアーキテクチュア界諸団体が多数存在している状況が報告された。翌日、各国代表が、再度集合し、前日の議論を踏まえて議論を交わし、これからの取り組みについてのノートとしてまとめられた(以下に掲載)。これについては、参加国だけでなくIFLA APR全体での活動にしようと言う積極的な内容のものであり、IFLA-Japanは、日本の現状を踏まえてJLAU,RLA総合管理委員会とも情報交換して具体的な組織・資格制度のありかた等について20年来の空白の時代を乗り越え方向を定めるギリギリの時期にきていると痛感した。

その他

膨大で多様な需要がある(ランドスケープ分野雇用数は2005年現在560万人強、そのうち高等教育を受けたものは3.5%20万人弱):LA教育:大学280校、マスター69、ドクターコース21環境ART学校1800以上等がある。 資格制度については報告されなかったが、台湾側の説明によればChina Landscape Architects Licenseがある様子。

「ポストカンファレンスノート」: ランドスケープアーキテクツ間の協力のための最優先事項

中国・台湾省ランドスケープアーキテクト協会CTLAS
台湾 ランドスケープアーキテクト学会 TILA

アジア太平洋地域と海峡を挟む地域のランドスケーププロフェッショナルの協力に関する会議が、
2014年5月17日台北で開催され、会議参加者は今後の協力のための熱意が示された。
翌2014年5月18日朝、会議後の会合が開催され、次の4つの主要な協定が提案された

  1. ランドスケープアーキテクチュアのための専門知識交換プラットフォームを樹立する。それを構築する必要性が、景観についての知識を収集する 異なる文化や地域からのランドスケープアーキテクトからの知識を結集する必要性から提案された。それは、ニュース、図面、材料、仕様、およびデザイン考慮事項や建設標準の交換に使用することができる。また、このプラットフォームは IFLAAPRのウェブサイト上の新しいWebページにリンクまたは統合されることが示唆された
  2. IFLA APRはランドスケープアーキテクトのための国際的な認証制度を確立する。ランドスケープアーキテクチュア教育のカリキュラムと専門家ライセンスはIFLAAPRによって認定或いは再認定されることが示唆された。 IFLAAPRによるこの国際的認証は、それぞれのライセンスシステムを有さない各国政府に圧力を与えるであろう。ローカル(=各国)ライセンスシステムの開発は、2012年4月の IFLAAPR上海宣言にしたがっている。そしてライセンス認証・更新サービスを通じてIFLAAPRの収入を増加させる。
  3. 東洋文化におけるランドスケープデザインの文化的価値と哲学について定期的な議論を容易にするための通信メカニズムを開発しよう。東洋諸国は長い間その主要な文化的貢献により認識されてきた。一連のワークショップ、シンポジュームが東洋のランドスケープデザイン的価値や哲学を表現するために期待される。
  4. IFLAAPR理事会・会議に上記テーマに基づいた議論部門を含める。何時の日にかIFLAAPRに、教育、文化、デザイン哲学、(資格)認証システム等の主要テーマの各部門等を統合することが示唆され。これらの各部門をAPR理事会に統一することで、これら会合が、同日・同じ場所で開催されれば、議論をより絞り込むことが可能で会議参加者数を増加させ、さらに旅費削減にもなる。

<追記>
この成果はアルゼンチンで行われた51回IFLA 世界大会で台湾のチャン代表が欠席だったため、代わって、高野会長よりAPRの会議で報告され各国代表全員から支持された。
この案件は台湾,中国,香港,日本の間だけの問題としてではなく,APR全体のこととして捉え,引き続きAPRで推進して 行く事が確認された。日本においても,CLA,JLAU,IFLA Japanで連携を深め取組んで行きたい。

井上忠佳 tadayoshi Inoue

特別非営利法人 日本都市計画家協会