IFLA ASIA PACIFIC CONGRESS2014に参加して

株式会社グラック 西山秀俊

マレーシアのクチンで開催されたIFLAアジア環太平洋地区大会には、主催国であるマレーシアをはじめ、日本、中国、韓国、タイ、オーストラリアなど約13カ国、300人以上が参加した。IFLA本部からもDesiree Martinez会長をはじめ、昨年11月のJLAU設立パーティにも参加いただいたIFLA 前副会長のDiane Menzies氏やJohn Easthope氏らも参加するなど、世界大会に匹敵するようなものであった。
昨年、JLAUの設立記念パーティに関わったことから、今回の国際会議がどのように運営されているのか興味深く見てきたので、それらについて報告したい。

日本からの参加メンバー
日本からの参加メンバー

国際会議を機としたランドスケープの認知度、地位向上

レーシアでは、今回の大会をはじめ、6月にはIFPRA(International Federation of Parks and Recreation Administration)世界大会、2020年にはIFLA世界大会が開かれる予定であり、ランドスケープに関する国際会議が目白押しである。 今回の大会では、近代マレーシアの礎を築いたと言われるマハディール元首相が基調講演を行う他、政府や行政の要人が数多く参加するなど、ランドスケープの認知度や地位向上のために戦略的な展開を図っていた。また、大会の様子を地元紙の1面で紹介するなど、社会への発信も積極的に行っていることが印象に残った。

マハディール元首相の基調講
マハディール元首相の基調講

GALAディナー

参加者が一堂に会してのパーティ、各国の参加者が円卓にランダムに座り、国際交流の場にもなっている。我がテーブルは、日本メンバーの他にベトナム、中国からの参加者が一緒だった。ベトナムからの参加は女性2人、国としての参加要件を満たしていないため、個人参加とのこと。今後更に発展するであろうベトナム、そしてランドスケープの重要性が高まる中、自国のランドスケープの発展には教育の充実、行政も含めたランドスケープアーキテクトの団結が重要であり、IFLAに正式に加盟できるようにしたいと熱く語っていた。


なお、国際会議のGALAディナーでは、自国のトラディショナルなスタイル(服装)で参加することがセオリーであるらしい。高野代表をはじめ国際会議に慣れている方々のセンスには脱帽だった。今後、世界大会等に出席する方は日本文化のアピールも含めて、頑張って頂きたい。

GALAディナーでの表彰式
GALAディナーでの表彰式
テーブルの面々との記念
テーブルの面々との記念

国際交流ティーブレーク

先ずは、学生ワークショップ。大会に先駆け、マレーシアの学生を中心に各国からの学生が参加して行われた。日本から参加した4人の学生はランドスケープを学ぶ同世代との交流を通して、大いに刺激を受けると共にワークショップを通したコミュニケーションを満喫したようである。


大会では、会議や発表の合間にティーブレークがあり、国際交流の場として活用される。ランドスケープアーキテクトとしての仲間意識、同志の集まりということから、自分の仕事の話から自国のランドスケープ界の話、記念撮影、フェイスブックでの繋がりなど、短い時間ながらも国際大会ならではの出会いと時間を過ごすことが出来る。なお、ティーブレークの場は、窓からの眺めも含め、いかに会話が弾むような場をセット、提供するかがカギになりそうである。

中国からのメンバーとの記念撮影
中国からのメンバーとの記念撮影

スポンサーシップ

世界各国からのオンラインによる受付をはじめ、専用ホームページの製作、会場演出、パンフレットやチラシ等の作成、運営スタッフの確保をはじめ、大会運営には膨大な人員と費用が必要である。とても、参加費だけでは賄うことは出来ないと思う。

今回の大会では、国から州や市に至る行政機関の後援の他に、民間企業のスポンサーを募っていた。スポンサーは金額に応じてゴールド、ブロンズ等のカテゴリーがあり、ティトークスポンサーは30分のプレゼンテーションを行う機会も与えられていた。

またスポンサーのロゴは、印刷物やホームページをはじめ、会場ボードなど至る所で目にすることができる。大会の専用ホームページでもロゴマークの表示やリンクが張られるなど、スポンサーになることのメリットをアピールすると共に、今後のスポンサー獲得に向けたアピールもしているようであった。

スポンサーロゴの入った大会ボード
スポンサーロゴの入った大会ボード

テクニカルツアー

会場となったクチンの自然や歴史、文化に触れることができるツアーである。ツアーの立案から大型バスの手配、会場の予約、ガイドの手配など、事務局の苦労は計り知れない。

Sarawak Cultural Village
Sarawak Cultural Village

最後に

大会への参加だけでなく、高野会長、三谷代表の計らいによりAPR代表者会議の冒頭に参加することが出来た。ここではIFLAの世界的な戦略や運営をはじめランドスケープアーキテクトの地位向上に向けた取組に接することができ、短時間であるが世界との関わりの重要性を実感した。

大会の運営に関しては、今後、物価の高い日本で同様の大会を開催しようとすると、移動や宿泊の費用も含め、参加者にかなりの負担を強いることになると思う。特に今回のようなアジア環太平洋地区圏の参加者が多い大会では、物価の違いによる参加者の負担軽減も含め、何らかの支援策が必須になると考える。

コミッショナー会議
コミッショナー会議

テクニカルツアーにおいては、インターネット等の普及によりオンタイムの情報を簡単に取得できる時代において、いかに日本のランドスケープや歴史・文化のリアルな情報を伝え、インターネット等では体感できない驚きや感動を伝えるかが重要になると思う。 そして、東京オリンピックのキーワードとなった「o・mo・te・na・shi」をどのように伝え、オリンピックに繋げていくかもランドスケープの持つ力や認知度を高める上でも重要な課題であると考える。

西山秀俊 Hidetoshi Nishiyama

株式会社グラック